ファッションヴィクティムは、デザイナー・ロゴを誇らしいメンバーシップーバッジのように身につけているのだ。本質的に、同属的行為なのである。「イギリスの小学生がみんな、最高にクールなトレーナー「他の国なら、スニーカーをねだるようなものね」とヅエラ。「身に付けるものを間違えてなければ、仲間だというわけ」。同一製品であっても、ブランド名が付いた途端に「価値」が付加される。「残念なことに、今日のファッションの基礎になっているのは、多くの場合プランティンクなのです。デザインでも革新性でもカットでもない。その他にデザイナーが磨いた技でもない。ブランドが表すものがすべてなんです」。ロンドンのJY&Aコンサルティングのファッションブランディング戦略担当者、デビーホールが語る。「日本人が言うように、名前が大事なんですよ。非常に資本主義的でかつ付加価値を求められる現代文化においては、ノー・ブランドの服の価値はほとんどなくなってしまう。たとえば、ヅインテージ現象。YsLの古着なら、仮にラベルがついていなくても、もともと名前があるわけだから、今でもそれなりの価値はあるでしょう。でも、聞いたこともないような名前の古着だったら二束三文ですね」。だが、ファッションヴィクティムがみんなロゴ病にかかつているわけではない。ファッションに気を配る人々の中には、ブランドのラベルの類はひどく興ざめだと考え、わざわざとり外してしまう人もいる。数年前、ロンドンのヒップスターたちがニュー・バランスのスニーカーからNの字を取り外し始め、これがトレンドとなった。『ニューヨーク』誌によれば、かつて、故キャロリンービセットーケネディも、購入したスキーウェアのブランドーラベルを使用人に外させていたそうだ。Jクルーの共同創立者兼会長のエミリー・シナダー・ウッズは、友人のマイケルージェフリーズー何から何まで派手にブランド名を入れることで悪名高いアバークロンビー&フィッチのとは違って、自分はあくまでもロゴなしにこだわり続けてきたと言っている。「だって、アイテム自体や色が気に入っても、ロゴが付いているせいで買う気になれないブランドって多いでしょう?」。